留学プログラム

麗澤大学ドイツ語・ヨーロッパ専攻の留学プログラムは、特別です。

1980年代半ば、当時まだ東独にあったイェーナ大学と交換留学制度を発足させて以来、毎年30名ほどの学生がドイツ各地の大学へ留学してきました。一学年の人数は30名ほどで(2000年代は、80名以上になった時期もありましたが)、その大部分が長期留学に出かけるため、2年次後半から3年次前半は、日本に残っている学生の方が少ないのが普通です。一度は、日本に3名しか残らずあとは全員ドイツにいるという年もありました。このようなことは日本全国見渡しても他に例がありません。

4週間の短期留学は、夏期と春期にあり、早い人は1年生の夏休みにドイツを体験し、その後さらに長期留学に出かけます。また、長期留学が始まる前に現地での4週間の語学講座を推奨し、「事前研修」として長期のドイツ滞在に備えています。

留学中は、現地でインターンシップもできます。これまでの学生たちは、幼稚園や小学校、老人ホームやサッカークラブ、動物園や植物園、図書館や劇場などで2週間程度の職場体験をし、多くのことを学んできました。インターンシップは、現地のコーディネーターが紹介してくれる場合もあれば、自分で探し出してくる人もいます。

さらに「何のために留学するのか」という目的意識を高めるため、留学中にプロジェクト活動を取り入れることにしました。ドイツに滞在するだけでも多くのことは学べますが、漫然と過ごすよりも自分の関心に沿って研究プロジェクトを実施する方が意味があるからです。1年次2学期から現地で行う研究プロジェクトを計画し、実施する準備をします。現地で実際にフィールドワークやインタビューをしたら、帰国後その報告をまとめ、発表します。

このように、短期留学、長期留学のチャンスが多く、新入生が入ると上級生が当たり前のように「留学はどこへ行くの?」と尋ねるため、留学率は90%を超え、旅行も含めると卒業までにドイツへ行ったことがある人の割合は、ほぼ100%になります。

専攻として留学が重要だと考えているのにはいろいろな理由がありますが、あえて挙げるとすれば、ヨーロッパにいるアジア人としてマイノリティーの立場を体験できること、家族と離れて暮らすことで自立しなければいけないこと、言葉が通じない状況でどう意思疎通をするかチャレンジできること、通学時間やアルバイトがないので友人とだらだらしゃべったり人生について考える時間がたっぷりあることなどがあります。

留学から帰ってきた学生たちは、顔つきや学びに対する態度が変わり、大きく成長しています。その成長ぶりをみるのがいつもとても楽しみです。

2020年の春に新型コロナウィルスの感染が広まり、留学中の学生は緊急帰国を強いられました。秋から留学予定だった学生たちにもプログラムの中止を伝えなければいけませんでした。しかし、長年の協定関係が功を奏し、直後の5月からイェーナ大学と協力してオンライン・プログラムを開講することができました。時差のため、日本は夕方からの、現地は午前中の授業です。現地の教員がZoomを通して、こちらにいる学生に授業をしてくれました(このプログラムに参加した学生の体験記もぜひご覧ください)。学生たちはタンデムパートナーも紹介してもらい、現地の日本語を学ぶ学生ともコンタクトを取ることができました。この夕方からの「オンライン留学」は、留学プログラムが再開した後も継続する予定です。何らかの事情で現地に行けない学生が、似た環境で学べる場を提供していきます。

それに加えて、本格的なCOIL授業(国際共同授業)も始めることができました。イェーナ大学でドイツ語教育を専攻する大学院生と麗澤でドイツ語を学ぶ学生がオンラインでつながって共に学びます(詳しくはこちら)。2022年春からは、この枠組みが拡大する形で、イェーナ大学、獨協大学そして台湾や韓国にある大学とも協力し、ドイツ語教育研究をすすめる合同プロジェクトも立ち上がりました。

留学プログラムは、幸いなことに2022年3月から再開することができました。留学は、ドイツ語専攻の最大の強みです。これからもどんどん盛り上げていきたいと考えています。